ハイスペック発達障害への道

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生活保護は最後の手段としなければならない理由

知っている方はご存じだと思うが、私(稲葉幽助)はかつて生活保護を貰っていた時期がある。

生活保護と言うと、日本ではどうしても「楽して生きている」だとか「働かなくて良いよな」というような、どちらかと言えば冷ややかな目線を送られてしまう場合が多い。それだけならまだ良い方で、かなりのバッシングを送りつけている人もいるくらいだ。

しかし、実際に生活保護を受給していたからこそ分かることだけれども、この制度によって楽に暮らしていけるのはほんの一握りに過ぎない(この部分だけがマスコミに取り上げられて罵倒の対象にされるのは、どうも納得がいかない)。大抵の人は、楽をするどころか、自らに節約という苦行を課さなければ到底生きてはいけないのである。

この記事においては、生活保護のデメリットを4つほど取り上げた上で、この制度に頼るのは最終手段であることを力説しようと思う(メリットについてはあえて載せない)。

【デメリット1】「収入」と見なされた分だけ支給額が差し引かれる

生活保護の支給額は、居住している市区町村にもよるが、だいたい10万から12万くらいだろう(障害者認定を受けている方はもう少し上がるが、18万にも満たない)。それだけで何とかやりくりしなければならないというのは、非常に難しいことである。毎日の食生活をパンやカップラーメンで済ませなければならないこともしばしばだ。

健康に暮らしていったり、必要に応じて衣服を揃えるだけでも、それなりにお金がかかる(かからないと思っている方は、自分のお金の使い道というものを見直してみていただきたい)。だからこそ、必要に応じてお金をもらいたくもなってくる。私自身、この状況から抜け出すためにお金が欲しいと、何度思ったことか分からない。

しかし、生活保護は基本的には「この支給額までしか保証はしない」という考え方のもとに運用されている制度である。だからこそ、仮に1円でも得るということがあれば、その得た分だけ支給額が差し引かれるのである(もちろん、収入があったという事実はできるだけ早く申告しなければならない)。

これは当然ではないか、と考える方もいらっしゃるかもしれない。けれども、ある程度猶予を持たせてくれるのならまだ良いけれども、生活保護の場合は、すぐにでも影響がくる(正確に言えば、翌月あるいは翌々月の支給額に響く)。仕送りを受け取ったり借金をしたりすると、それだけで減額をすぐさま食らうことになり、全く割に合わない(もしこの事実を申告しなければ、不正受給ということになってしまう)。なので、仕送りや借金等は生活保護をやめる気がなければ見送った方が良い、ということになる。

勤労して得た収入に関しては、給与明細等のコピーを提出することによって、ある程度の控除はしてもらえるようになっている。しかし、その額もたかが知れているというものだ。満足して暮らしてゆけるまでにはならないし、その程度の額まで貰う頃には、もう生活保護が打ち切られているのである。

【デメリット2】基本的に貯蓄は禁止されている

生活保護を受給しようと考えている上で最も気をつけなければならないのが、「貯蓄は禁止されている」という原則である。

昨今「最低賃金スレスレの額をもらうくらいなら生活保護を受給すれば良いじゃないか」という論調が目立つが、とんでもない話だ。なぜなら、ある程度の貯蓄がある時点で生活保護は申請できないし(私もこれで一度「門前払い」を受けたことがある)、生活保護を受け取り始めた途端、一切の貯蓄ができなくなってしまうからである。

受給したものをどう使おうが受給者の勝手だろうが、貯蓄だけは一切許されない。頑張って頑張って節約を繰り返し、やっとのことで余裕を作り出したとしても、それがある程度の額に達してしまった途端、生活保護を打ち切られる危険性が出てくるのである(幸いにも私はそうはならなかったが)。

役所としては「これだけ貯めているんだから、当面の生活は大丈夫だよね」という考えなのだろう。しかし、頼りにしていたものを切られてしまうと、受給者としてはどうしようもなくなる。結果として、当面の生活にほとほと困ってしまうことになる。

生活保護から抜け出したくてもなかなか抜け出せない原因が、まさにここにある。本来なら、多少(独身世帯で20万から30万くらい)の貯蓄は大目に見てやるべきだと思うのだが(そうでもしないと、まともな就職活動はできない)、現状は許されていない。その分、生活保護によって享受しているメリットが、デメリットよりも大きく上回ることになり、なかなか抜け出そうという機運が起こりづらい。

【デメリット3】人間関係に確実に響く

「金の切れ目は縁の切れ目」という言葉をご存じだろうか。一般的には「金銭だけで成り立っていた関係ほど危ういものはない」ということを戒めた言葉だが、実際には金銭がなくては成り立たない関係も結構あるものだ。

例えば、友人関係を保つ上では、時折喫茶店で話し合ったり、メールやLINE等を送り合ったりするということが必要不可欠になってくるだろう。しかし、生活保護を受給しつつ生きてゆく上では、そのいずれか(あるいは全て)を諦めなければならなくなる。そうすると、友人や知り合いとの繋がりも自然と薄れてきて、結果として、家族や支援者などごく一部を除いて疎遠となってしまう。

生活保護を受給していても持続できる人間関係があるのであれば、それは大切にしなければならない。しかし、何せ数は少ないから、その一部分に頼りきりになってしまうケースも少なくないのではないか(私がそうだった)。支援者の場合は仕事だから相談には乗ってくれるだろうけれども、友達や知り合いに負担をかけすぎてしまったがために、関係を破綻させてしまうことも起こりうる。

だからこそ、今ある人間関係を壊したくないと思ったら、なるべく生活保護に頼らない方法を考えておくべきなのだ。

【デメリット4】趣味活動にも確実に響く

趣味はお金がかからないものだと思ったら、大間違いである。どんな趣味でも、極めようとすればお金がかかるものだ。書き物をしようとしたら、ノートや筆記用具、そして資料となるべき多数の本を揃える必要があるけれども、その全てが揃うには非常に時間がかかる。

好きなことで食べていこうと思ったら、さらに大変である。私は今現在、自分の好きなことを事業にしようと思っているのだが、それもある程度の貯蓄があったからこそできることだ。生活保護を受けている者が同じことをやろうとしても、お金が足らずにたちまち失敗ということになってしまう。

国は異なるけれども、ハリーポッターシリーズの作者として知られるJ・K・ローリング氏は、かつて生活保護を受給している際にハリーポッターを書いていたそうだ。しかし、こういう例は彼女の才能が成せるウルトラCだと言わざるを得ない。ごく普通の人間が書き物で生計を立てようと思ったら、インターネット環境やパソコンなどは今や必須なのだが、生活保護受給者の場合、それを揃えるだけでも一苦労なのである。

それに、パソコンを仮に買ったとしても、数年も経てば新しいものに買い換えなければならない。そのためにまたお金を貯めなければならないのだが、今度はそれが「貯蓄」と認定されて、支給額の減額または支給の打ち切りとなってしまうのである。

自分の今やっていることを諦めたくなかったら、できるだけ生活保護は使わない方法を模索するようにしよう。

【最後に】もうこんな生活には戻りたくない

以上に挙げたデメリットはごく一部で、生活保護にはこの他にも多数のデメリットが存在する。だからこそ胸を張って言えるのが、「生活保護受給者は決して楽をしているわけではない」ということだ。むしろ、制限だらけの生活を送らざるを得ず、苦行の連続なのである。

私は訳あって現職に就き、生活保護から抜け出すことができたのだけれども、もう一度戻ってみる気など起こるわけもない。再び制限まみれの生活を送ることなど、御免蒙りたいものである。

それでも私が生活保護を切り抜けていけた理由の一つは、何としてでも書き物を続けていきたいという志があったからだろう。打ち切られた後も生活が送れていること自体は幸運だが、ここで終わらせては、何のために生きてきたのか分からなくなる。

ともあれ、生活保護はできるだけ最後の手段だと思っておいた方が良い。将来的には支給額がさらに切り下げられ、セーフティネットとしての役割すら果たせなくなってしまいかねない。そうなる前に、自分の力で生きていけるよう、自分の得意分野(例えば書き物)に取り組み続けていこう。私は、そのお手伝いをするために全力で邁進する所存だ。