ハイスペック発達障害への道

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【ネタバレなし感想】月曜日の友達(全2巻)

俺は未来が楽しみだよ。

全てはこの台詞を導き出すための前奏だった、と言っても過言ではない。

間違いなく傑作と言って良い作品の一つ

『月曜日の友達』という漫画は、簡単に言えば中学一年生の男女の成長物語である。しかし、この言葉で片付けてしまうには、あまりにも惜しいものがある。

実際、こんなにも食い入るように読んだ漫画は久々かもしれない。しばらくの間、漫画というものから遠ざかっていた私にとっては、頬を平手打ちにされたような気分になるのに時間はかからなかった。

1巻も2巻も、中学一年という、子供から大人へと発達してゆく途中の段階を描いている。しかしながら、ストーリーは決して退屈させるということがない。どこか不思議な雰囲気を醸し出している男の子「月野透」と、小学生ならではのあどけなさがまだ残っている女の子「水谷茜」という二人が中心となって織り成している独特な世界観が、読者を惹きつけてやまないからだ。

この二人は、月曜日の夜にだけ学校の校庭で会うという秘密の約束を交わしている。普段、主人公の水谷はかなりおしゃべりで交友関係を築いていっている一方で、月野の方はほとんど喋らず、なし崩し的にいじめなどを受けていることもしばしばだ。そんな対照的な二人がどうして接点を持ったのか、もしくはどういう風に仲を深めていき、諍いを起こし、あるいはそれを乗り越えていくかが、巧みに描写されていると思う。特に、大人になればなるほど、この作品を読むことで胸が締め付けられる思いをするのではないだろうか。

子供から大人へと成長してゆく物語

1巻は入学直後から夏休みが終わるまで、水谷と月野が知り合ってから「約束」を取り交わし、仲を深めてゆくまでが描かれている。月野の不思議な言動にとまどうことはあるだろうが、基本的にありがちなストーリーであるため、今後の展開に期待と不安を抱くのはごくごく自然なことだ。

圧巻なのは2巻である。一度大きなすれ違いを経てから仲を取り戻し、最後には水谷との約束を交わすきっかけとなった月野の「願い」が実現する。このとき、この記事の冒頭に書かれた台詞を言うわけである。

冒頭の台詞は、さらに次のように続いている。

嫌なこともあった。嬉しいこともあった。人を思うつらさを味わった。人に思われる喜びを知った。外から見れば下らないことでこの世の終わりと落ち込んだ。そのあとで友達がたったひとりできただけでこの世の全てと戦えると思えるくらい幸いが血潮を沸かした。これからも出会いや別れ希望と絶望が入れ替わり繰り返し自分の心を叩き続けるんだろう。それが生きていくということだと思う。

かなり長い台詞である分、相応の見応えのあるものだと思う。

この言葉は、私たち人間が人生を送ってゆく上で決して避けられない感情のことを指している。これまでに月野と水谷の二人が味わってきた感情は、友情を発展させてゆく上では必要不可欠のものだったのだ。そのことに気づいた月野はすでに一歩、二歩と踏み出していて、立派な大人になれているのである。

彼はさらにこう続けている。

生きている限りどんな人間も前に進んでいる。時間を止めることは決してできない。その渦中でどういう生き方を選択するかの自由が人生だ。世界を変えることは人にはできないが、自分が変わることはできる。それが可能性だ。

つまり、生き方や考え方を変えていかないことには、ひょっとしたら、すれ違いをきっかけに水谷との友情が破綻したきりになっていたかもしれないのである。そのことを理解した月野も、この言葉を直接聞いていた水谷も、そして他の中学生も、こうして大人になってゆくのだな、と考えずにはいられなかった。

もちろん、肝心の主人公である水谷の方も決してないがしろにされているわけではない。彼女自身の成長物語も見応えのあるものだ。しかしながら、先ほど挙げた月野の長い台詞があまりにも印象的であり、かつ『月曜日の友達』という成長物語を象徴している。この発言に至るまでのストーリーについては、是非ともお手にとって確かめていただきたいと思う。

ラストシーンの醸し出す「余韻」

この物語の最後には、不思議な光景が描かれている。具体的に記すことはできないが、幾多もの解釈ができる内容であり、それだけに物語を読み終えた後の余韻も凄まじいことになるのではないか。

この部分の是非についてはさておくとしても、作者は何らかの狙いがあってこのシーンをわざわざ描写したのではないかと思っている。少し穿った見方かもしれないが、それでも考察してみる価値は十分にあると思うし、それだからこそ、『月曜日の友達』がさらに素晴らしくなっているのではないか。

いずれにしても、青春時代という誰もが通り行く時期が、ユニークなキャラクターたちとともにうまく描写されているのは否定しようのないことだと思う。この稀代の傑作は後世まで語り継がれてほしいところであるし、幅広い層にオススメできる作品だ。

月曜日の友達 1 (ビッグコミックス)

月曜日の友達 1 (ビッグコミックス)

月曜日の友達 2 (ビッグコミックス)

月曜日の友達 2 (ビッグコミックス)